ケミストリー(chemistry)

2015年1月11日

まだ大学院をうろうろしていたころ、翻訳などもしていたのだが、そのときに何と訳すのか困った言葉が、chemistry。人間関係にケミストリーがどうとかこうとか… ケミストリーとはまったくもって化学に関する用語だと思っていたので、人間関係にケミストリーが起こるってどういうことなのか、非常に面食らった。

今でこそ、そのような名前の音楽グループも存在し、ケミストリーの意味やニュアンスを理解している人も多くなっているのかもしれないが、当時は研究仲間たちも「?」な状態だったのだ。

敢えて日本語にすれば、「相性」となるだろう。しかし、ケミストリーには、単に「相性」だけではない、もっと動的なニュアンスがあるように思う。まさに、人と人とが出会うとそこに何かしら「化学反応」が起こって、それまでは予想だにしなかったような何かが生じる──そのようなことを経験した方も多いのではないだろうか? そのような局面に出くわすたび、私はケミストリーという言葉を思い出すのだ。

作文教室で、面白くもありまた難しいのもまた、ケミストリー。

作文教室では、単に書くだけでなく、発話してのやり取りも大切にしている。思ったことを口にする、人が言ったことを聞いてそれに応える──。

AちゃんとBちゃんは合わんやろーと思っていても、いざ対面すると、二人ともとても楽しそうに冗談を言い合って盛り上がる。あれ?Aちゃんってこんなに明るい子やったっけ? Bちゃんって真面目やと思ってたけど、こんな風に冗談も言うんや、とただ一人教師は驚く。そういうこともあった。

また、どう考えても合うと思ってた生徒同士が、いざいっしょに勉強を始めると、どうしても打ち解けずにシラ~っとした空気が全体を覆ったまま動かない、ということもある。どうしよう?この雰囲気・・・と思っても、その場を融かす化学薬品を教師は残念ながらもちあわせていない。

化学薬品の調合という課題も含めてケミストリー、おもしろいなぁと思う。

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