微分型作文と積分型作文

2014年4月8日

一口に、「作文」「小論文」といっても、それぞれいろんなタイプの文章があります。「作文」と「小論文」で異なるのはもちろんのこと、「作文」にもまたいろいろあるのです。
 私が子どものころは、「作文」や「日記」は学校教育の中でも重視されていて、先生も熱心に指導されていたし、文章をたくさん書かされていたように思います。それが、娘世代の今の子どもたちを見ていると、学校ではほとんど文章を書かされることがないようなのです。せいぜい1年に数回程度でしょうか。
 その書かされるのも、遠足や運動会といったイベントがあった時に、それについて「作文」することが求められる、というもの。(違った取り組みがなされているのを御存じなら、どうぞご一報ください!)
 
 そして、子どもたちは、そのような“イベント作文”がとても苦手なようす。

 気持ち、わかりますね。「さぁ、運動会について書きなさい!」と言われても・・・ですよね。

 ポイントを絞るという思考に慣れていれば、「あぁ、リレーのアンカーのときにバトンを落としてしまったことを中心に書こう」とか、「応援団の応援が工夫されてて面白かったことを書こう」とか、うまくテーマを見つけることができるかもしれません。けれど、漠然と「運動会」というお題だけでは、何を書いていいのやら・・・と思ってしまうのが、一般的な反応かな、と思います。

 この、「ポイントを絞る」ということ。つまり、「運動会」という漠然とした全体から、ある要素を切り取る、あるいは運動会で楽しかった思い出の核心部分を切り取る、などという作業──それをここでは「微分する」と考えてみます。

 つまり、“イベント作文”とはすなわち「微分型作文」である、と。そして、学校で1年に数回書かされるのは、ほとんどがこの「微分型作文」である、と。

 一方、高校受験に目をやるとどうでしょう。

  あなたが「時間」に対してもつイメージを表すことばをひとつ考え、そのことばとそのことばを選んだ理由をあわせて、300字以内で書きなさい。(2008年)

 たとえば、このような問題では、「時間」というお題が与えられ、そこから話を膨らませて作文を書くことが求められます。お題は「かけがえのないもの」(2013年)、「宇宙」(2012年)など、さまざまです。このように、「お題」という一つの点から、いわば空間を紡ぎだすような作業のことを、ここでは「積分する」と考えてみます。

 入試で出されるお題型作文は、「積分型作文」である、と。

 もちろん、もっといろんなタイプの作文があると思われますが、ここでは「微分型作文」「積分型作文」について考えてみました。
 問題はもうわかりますよね。「微分型作文」も大切ですが、入試では「積分型作文」がメインであり、やはりそれの対策はしていかないといけないんじゃないかということ。入試のためだけでなく、いろんな「作文」の型があるということを意識して、臨機応変に文章を作成できる訓練が必要なんじゃないか、ということです。

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