2014年12月11日
父の手術が終わり、お医者さんから手術の報告や今後の処置や見通しについて教えてもらったときのこと。長時間の手術のあとで目がまだ血走った感じの、けれども穏やかなお医者さんは、たんたんといろいろ説明してくれたのだが、「このとき、患者が苦しくて管を引っぱって抜いてしまうことがありますので…」と申し訳なさそうに私たちの方を見て、「手をお預かりすることがあります」と言ったのだった。
初めて聞く表現に、私はかなり驚いた。
手を拘束するという意味。つまり、手をベルトかなんかでおそらくベッドのパイプに固定する? そのような荒々しい行為が、こんなにも品の良い言葉で表されてしまうとは!
もちろん、患者のことを思えばこその処置ではあるのだが、言葉の響きと、その言葉が意味することとの乖離に驚いて、しばらく頭のなかをそのフレーズがリフレインしていた。
いつ、誰がそんな表現を使い始めたのか知らないが、現場で使われる言葉の、何とも言えない臨場感に身震いがする思いだった。
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